心のこもったお別れの言葉

1年間にわたるコラムもついに最終回となりました。そこで、今回はお別れの言葉をご紹介しようと思います。

中国を旅行すれば、あるいは中国で生活をすれば、たくさんの出会いとともに多くのお別れの場面にも遭遇するかと思いますが、筆者も4年に渡る中国の生活で、これらを何度も経験してきました。その印象からすると、中国人はしんみりとしたお別れよりも、カラっと明るいお別れを好む傾向があるように思います。

具体的にはどのようなお別れになるかというと、これまでの思い出について振り返ったり、感謝を表したりすることよりも、互いの幸せな未来を祝福し、今後も続く友情を願うような、前向きなものが多いのです。

その点を踏まえつつ、わたしたちはやはり日本人ですから、お別れのときには相手の友情や親切に対する感謝を伝えたいものです。何よりも、わたしたちが中国で旅したり暮らしたりすれば、中国のみなさんをお世話することよりも、お世話になることのほうが圧倒的に多いいことでしょう。

ですから、ここではあえて、そんな気持ちも含んだお別れの言葉をご紹介したいと思います。

Wǒ fēicháng de gǎnxiè nǐmen yīnwei yǒu nǐmen de lèyì bāngzhù、rèqíng yǒuyì, wǒ zài zhōng guó de rìzi cái néng guò de píng’ān、kāixīn。
あなたたちの心からの助けと友情があってこそ、わたしは無事に楽しく中国での生活を送ることができました。とても感謝しています!
※「有+A+才+B」は「AがあってのB」、つまり「Aという条件を満たすことで初めてBが成り立つ」、という文型をつくります。
「乐意+動詞」は「心から、喜んで××する」という意味です。英語の「willing to +動詞」と同じです。
「过日子」は「生活する、暮らす」という意味ですが、ここでは「日子过得平安、开心」と語順が反転しており、前者の「日子」は目的語ですが、後者の「日子」は主語になっています。この部分を前者の語順に戻すと、「过平安、开心的日子」となります。「过得」=「動詞+得」は後ろに補語を伴って、動詞のもたらす結果や程度を表します。

Nénggòu rènshi dào nǐmen, wǒ gǎn dào fēicháng xìngfú. Wǒmen hǎohāo zhēnxī zhè yī yuánfèn ba!
あなたたちに出会えて、とても幸せです。このご縁をぜひ大切にしましょう!
※「认识到你们」、これは「认识你们」でもセンテンスの意味は成立します。ただ「動詞+到」というのは、「結果として○○することに至った」という達成のニュアンスが含まれますので、ここでは「认识(出会う)」→「认识到(出会うことになる、出会うことができる)」という語感になり、出会えたことの喜びがより強調されることになります。
「好好」は「存分に、しっかりと」という意味です。2番目の「好」は第1声になりますから注意。
「珍惜缘份」は「ご縁を大切にする」。中国人が大好きな言い回しです。出会いとは天のめぐりあわせであり、人の力ではコントロールできないものという考え方から、彼らは「缘份」を非常に重視し、また感謝します。

Wǒmen gòngdù guòde kuàilè shíguāng, wǒ yìzhí huì liú zài xīnlǐ de.
わたしたちが一緒に過ごした楽しい時間を、わたしはずっと忘れません。
※「共度」=「共同度过」、共に過ごすという意味です。「时光」は年月を表します。少し文学的なニュアンスでしょうか。
後半の「忘れません」というフレーズですが、中国語では「忘れない」よりも「留在心里=心に留め置く」という表現の方がより自然なように思います。
ここでの「会」は可能を表すものではなく、「きっと○○するはずである」という推量の意味を示しますが、そこには「必ず○○したい」という話者の意志も込められます。「我会好好努力的」といった風に使います。

Wǒmen xiānggé hěn yuǎn, dàn xīwàng wǒmen de yǒuqíng yǒngyuǎn bú biàn.
離れていても、わたしたちの友情がいつまでも続くことを願っています。
※「相隔」は「互いに離れる」という意味です。
「相隔很远」「永远不变」など、4文字で構成される文節は、中国語ではリズムの良いものとして非常に好まれます。

Wǒmen yǐhòu jīngcháng bǎochí liánxì ba!
これからも連絡を取り合いましょう。
※「保持联系」は第33回のコラムでもご紹介しています。別れ際に連絡先を交換する際、このひと言を添えましょう。

Yǐhòu yǒu jīhuì, huānyíng nǐmen suíshí lái Rìběn wán!
機会があったらいつでも日本へ遊びに来てください!
※「遊びに来てください」―これは日常的な別れのシーンでも頻出の常とう句です。日本語では「遊びに来て“ください”」となっていますが、中国語では「遊びに来ることを“歓迎します”」という積極的な言い回しになっている点にも注目。
ちなみに、日常のシーンでは「欢迎你常来我家玩(Huānyíng nǐ cháng lái wǒ jiā wán /どんどん家に遊びに来てください)」「有空来我们家坐一坐(Yǒu kòng lái wǒmen jiā zuò yí zuò/時間があれば家へ立ち寄ってください)」などと言います。「常来(いつも来てください)」というのは単なる社交辞令、「坐一坐(ちょっと坐る)」というのは「訪問する、少し滞在する」という意味で、どちらも文字通りの意味ではありません。

愛玉先生の中国語ネイティブ化計画(無料中国語講座コラム)一覧

すべての発音が収録されています。我是日本人

  1. 第1回通じる中国語の最優先事項「大きな声で、はっきりと!」 
  2. 第2回最難関!そり舌音(zhi・chi・shi・ri)の攻略法 
  3. 第3回中国でも感染広がる「新型インフルエンザ」 
  4. 第4回譲りあいをしない中国人に「让一下/どいてください」 
  5. 第5回ニセモノ商品に気をつけろ! 
  6. 第6回日常に定着した基本広東語 
  7. 第7回「ありがとう」「ごめんなさい」は頻出フレーズ? 
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  29. 第29回性格を表現する言い回しあれこれ―その1― 
  30. 第30回性格を表現する言い回しあれこれ―その2― 
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  32. 第32回中国でも晩婚化が進んでいる 
  33. 第33回気になる人へのアプローチはじめの一歩 
  34. 第34回意外と違う!中国の中国語と台湾の中国語 
  35. 第35回旧正月直前!「新年おめでとう」の挨拶集 
  36. 第36回オフィスワークで必須のパソコン用語―その1― 
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  40. 第40回季節の変わり目、体調不良の時は―その1― 
  41. 第41回季節の変わり目、体調不良の時は―その2― 
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  46. 第46回日本語と中国語で意味が違う!似て非なる単語集―その1・初級編― 
  47. 第47回日本語と中国語で意味が違う!似て非なる単語集―その2・上級編― 
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  49. 第49回ビジネスにつかえるメールの定型文―その1― 
  50. 第50回ビジネスにつかえるメールの定型文―その2― 
  51. 第51回言葉を濁す―中国語の婉曲表現― 
  52. 第52回心のこもったお別れの言葉 

愛玉■中国語翻訳者、ライター。 重慶大学漢語進修課程で中国語を学ぶ。その後、上海で日本人向けフリーペーパーの編集、美容業界誌の中国語版立ち上げなどに携わる。中国在住経験は4年。現在、中国ニュースの翻訳や中国関連の執筆などを行う。得意分野は中国グルメ、中華芸能。北京語言大学主催のC.TEST(実用中国語レベル認定試験)Aレベル取得。
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