スキャンダラス事件につけられるタイトル「○○門」

中国のネットニュースを巡回していると、やたらに目につく「○○门」「××门」という文言。「これ、なんの意味だろう?」と気になったことはありませんか?これは社会の関心を惹くような大ニュース、しかも繰り返し続報が報じられるような事件をまとめる「シリーズ名」のようなものなのです。ここ近年、インターネットの世界から急速に広がった言い回しです。





この「门(mén)」のそもそもの語源は、1972年にアメリカで発生した政治スキャンダル「ウォーターゲート事件」を、中国語で「水门事件(門=ゲート)」と訳したことが始まりです。これを受けて近年、衝撃的かつ煽情的な事件を指して「○○门」という呼び名がたびたびつけられることになりました。政治・社会・スポーツ・芸能などあらゆる分野のニュースに使えますが、主にはスキャンダラスな事件を指すことが多く、また、続報が延々と続くとか、社会からの反響が一定期間以上続くような“継続的”事件を指します。

この言い回しが一気に定着したのは08年2月に香港の芸能界を震撼させた「艳照门事件(yànzhàomén shìjiàn)」でしょう。「わいせつ写真流出事件」の名で日本でも報道されました。香港のある俳優が数々の女性有名人とともにプライベートで撮影した写真が多数、ネット上に流出した事件です。「艳」は「セクシー」という意味、「照」は「照片(zhàopiàn /写真)」の意味ですから、どんな写真が流出したのか、その意味は推して測るべしでしょう。

その他では08年11月、台湾の女性タレントが既婚であるにも関わらず男性と手をつないでデートする姿が報じられた「牵手门事件(qiānshǒumén shìjiàn/牵手は“手をつなぐ”という意味)」、08年9月、有害物質に汚染された粉ミルクで多数の乳幼児が犠牲となった「奶粉门事件(nǎifěnmén shìjiàn/奶粉は“粉ミルク”の意味)」、09年2月、国営テレビのアナウンサーが衛星中継の前後にしかめ面をしたり私用電話をかけたりしたシーンが流出した「鬼脸门事件(guǐliǎnmén shìjiàn/鬼脸は“ふざけたてしかめた顔”の意味)」、最近では先月、新疆ウイグル自治区で発生した注射器による無差別刺傷事件「针刺门事件(zhēncìmén shìjiàn)」などがあります。

以下に例文をご紹介します。

Nǎifěnmén shìjiàn hòu, rénmen duì shípǐn ānquán wèntí dōu fēicháng guānzhù.
粉ミルク事件後、人々は食品安全問題について非常に関心を高めた。

Qīngshàonián qúntǐ shì yànzhàomén shìjiàn de zuìdà shòuhàizhě.
青少年たちがわいせつ写真流出事件の最大の被害者だ。

愛玉先生の中国語ネイティブ化計画(無料中国語講座コラム)一覧

すべての発音が収録されています。我是日本人

  1. 第1回通じる中国語の最優先事項「大きな声で、はっきりと!」 
  2. 第2回最難関!そり舌音(zhi・chi・shi・ri)の攻略法 
  3. 第3回中国でも感染広がる「新型インフルエンザ」 
  4. 第4回譲りあいをしない中国人に「让一下/どいてください」 
  5. 第5回ニセモノ商品に気をつけろ! 
  6. 第6回日常に定着した基本広東語 
  7. 第7回「ありがとう」「ごめんなさい」は頻出フレーズ? 
  8. 第8回日本オタク文化強し!中国語になった「萌え」 
  9. 第9回続・そり舌音(ri)の攻略法 
  10. 第10回言わないと出てこない「冷えたビールください」 
  11. 第11回「摇头丸」って何?日中芸能界に広がる薬物汚染 
  12. 第12回女性の美をほめる言い回しあれこれ 
  13. 第13回店頭・広告でよく見る「売れ筋」アピールの常用語 
  14. 第14回フルネームで呼び捨て!?中国人の名前の呼び方 
  15. 第15回これにて仕上げ!そり舌音の無理ない攻略法 
  16. 第16回実は日本語がいっぱいの現代中国語、そのわけは?-その1- 
  17. 第17回実は日本語がいっぱいの現代中国語、そのわけは?-その2- 
  18. 第18回「もうすぐだから!」時間の概念を変えよう 
  19. 第19回スマートなごちそうのされかた 
  20. 第20回スキャンダラス事件につけられるタイトル「○○門」 
  21. 第21回歌うような中国語はナチュラルじゃない―その1― 
  22. 第22回歌うような中国語はナチュラルじゃない―その2― 
  23. 第23回「安くして!」だけが能じゃない、効果的な値切り方 
  24. 第24回日本より旺盛?ネット発の社会現象―その1― 
  25. 第25回日本より旺盛?ネット発の社会現象―その2― 
  26. 第26回「わたしはこう思う」自分の意見を述べる 
  27. 第27回中国語の「ムード」を身につけることが上達の近道 
  28. 第28回「スゴイ!」驚きを表現するライブ感たっぷりのスラング 
  29. 第29回性格を表現する言い回しあれこれ―その1― 
  30. 第30回性格を表現する言い回しあれこれ―その2― 
  31. 第31回性格を表現する言い回しあれこれ―その3― 
  32. 第32回中国でも晩婚化が進んでいる 
  33. 第33回気になる人へのアプローチはじめの一歩 
  34. 第34回意外と違う!中国の中国語と台湾の中国語 
  35. 第35回旧正月直前!「新年おめでとう」の挨拶集 
  36. 第36回オフィスワークで必須のパソコン用語―その1― 
  37. 第37回オフィスワークで必須のパソコン用語―その2― 
  38. 第38回お誘いを遠回しに断る 
  39. 第39回旬のニュースに学ぶ裁判用語 
  40. 第40回季節の変わり目、体調不良の時は―その1― 
  41. 第41回季節の変わり目、体調不良の時は―その2― 
  42. 第42回一人っ子政策の申し子「80後(パーリンホウ)」 
  43. 第43回「清明節」国民的行事にも地域差さまざま 
  44. 第44回新居の入居後はトラブルがいっぱい! 
  45. 第45回タクシーを乗りこなす 
  46. 第46回日本語と中国語で意味が違う!似て非なる単語集―その1・初級編― 
  47. 第47回日本語と中国語で意味が違う!似て非なる単語集―その2・上級編― 
  48. 第48回上海万博の前途多難…噴出する盗作問題 
  49. 第49回ビジネスにつかえるメールの定型文―その1― 
  50. 第50回ビジネスにつかえるメールの定型文―その2― 
  51. 第51回言葉を濁す―中国語の婉曲表現― 
  52. 第52回心のこもったお別れの言葉 

愛玉■中国語翻訳者、ライター。 重慶大学漢語進修課程で中国語を学ぶ。その後、上海で日本人向けフリーペーパーの編集、美容業界誌の中国語版立ち上げなどに携わる。中国在住経験は4年。現在、中国ニュースの翻訳や中国関連の執筆などを行う。得意分野は中国グルメ、中華芸能。北京語言大学主催のC.TEST(実用中国語レベル認定試験)Aレベル取得。
ご意見・ご感想・コラムへのリクエストはこちらまで、お気軽にどうぞ。