社会が大きな変化の真っ最中にある中国では、日々、あらたな概念を表す新語が登場しています。その際に、先進国から既存の単語を“拝借”してそのまま中国語として定着するケースも多く存在します。とくに、同じ漢字を共有する日本語からの移入は山ほどあります。この動きは若者文化の世界ではとくに顕著で、最近のネット界や娯楽関係の報道などでは「萌(méng /萌え)」という単語が盛んに見られるようになりました。日本のオタクカルチャーは強し、中国でも「御宅族(yùzháizú /オタク)」は市民権を獲得しつつあります。
中国語における「萌」という概念はまだ発展途上で、定義が定まっていないようなのですが、大きくは2つの意味があるようです。1つは日本語の原義と同じく、「主に美少女キャラに対し好意を抱くこと」。ただし、単なる好意であるならば「喜欢(xǐhuān /好む)」「爱慕(àimù /慕う)」「欣赏(xīnshǎng /愛でる)」という言葉で置き換えられるのですが、「萌」にはそれにプラスα、「激しく心を突き動かされ、血の湧くような」感情が伴わないとならないそうです。「萌」は名詞・動詞・形容詞いずれにも使えます。用法としては、
動詞:
■主語(○○)+萌+目的語(××)(○○は、××に萌えている=能動形)
■被+目的語(××)+萌到(××に萌えてしまう=受動形)
形容詞:
■主語(○○)+很+萌(○○は萌える)
その後、この「萌」という単語は中国独自の進化を遂げ、「女性がマンガなどの登場人物を模し、10代の少女のような装いをすること」という語義が派生しました。そのような行為に傾倒する女性を「
萌女郎(méng nǚláng)」などと呼ぶようです。
では、以下に「萌」を使用した例文を紹介します。
Zài dāngdài zhōngguó nǚxìng dāngzhōng, xīngqǐ yīgǔ méng wénhuà.
近頃の中国人女性の間では、“萌え文化”が流行り出しているようだ。
※「在…当中」は「…の間で」、「股」は集団を表す量詞。
Zuìjìn quánguó gèdì chūxiàn le hěn duō jīngrén méng nǚláng.
最近、全国各地でびっくりするような“萌え”系の女性が多く見られる。
※「惊人」は「人を驚かせる」こと、つまり「驚くべき」といった意味。