インターネットが爆発的に普及した近年の中国では、一般市民の意見吐露の場として、ネットが大きな力を持ちはじめ、世論を動かしたり、新しい文化を生み出したりするなどの現象が見られています。その動きは、中央政府も注視するほどの勢いを持っているのです。今回も前回にひき続き、ネットの世界を代表する大きな社会現象についてご紹介しようと思います。
「官员博客(guānyuán bókè)」。これは政府・自治体の幹部や職員がたちあげる「お役人ブログ」です(官员は官吏の意味、博客はブログの音訳語)。実名・写真つきで展開することも多く、官民がオープンに、また双方向に交流することのできる場として近頃では多く採用されています。普通はなかなかお上に届くことのない民意を伝えるツールであり、公的機関にとっては「開かれた行政」のイメージをPRする場にもなっているのでしょう。
「网络民主(wǎngluò mínzhǔ)」は、「インターネット民主」という新語です。インターネット登場によって、個人発信の情報が社会に広く伝達できるようになり、これまで隠匿されてきた役人の汚職や社会的事件が告発されたり、また、一般市民が政府機関へダイレクトに陳情したりすることができるようになってきています。民衆の発言権はこれによって飛躍的に高まり、一方的な政府主導の政治では収まらない時代になってきたと言えます。
では、以下に2つの例文を示します。
Wèile shōují hé tīngqǔ mínyì, bùshǎo zhèngzhì rénwù kāishè guānyuán bókè mìqiè yǔ gōngzhòng de guānxì. qízhōng àobāmǎ kěyǐ shuō shì zuì shànyú lìyòng bókè de guójiā lǐngdǎo.
民意の収集や吸い上げを目的に多くの政治家がオフィシャルブログを立ち上げ、民衆との関係密接化を図っている。中でも、オバマ大統領はブログの利用に最も秀でた国家リーダーと言ってもよいだろう。
※「
为了…」は「…のために」。目的を示す表現として頻出です。「
不少」はすなわち「多(duō)」という意味ですが、このような表現は中国語の好むところ。例えば、「
不错(búcuò /悪くない)」は「好(hǎo /よい)」という意味で使われます。「ブログをたちあげる」は
开设博客、略して「
开博(kāibó)」と言います。ここでは「
官员博客」をオフィシャルブログと訳しましたが、正確には「公務員・役人によるブログ」という意味です。有名人などによる一般的なオフィシャルブログは「
官方博客(guānfāng bókè)」と呼びます。「
奥巴马」はオバマ米大統領の音訳語です。「
可以说是」は「…と言ってもよいだろう」。断定表現をやや和らげてくれる言い回しです。「
善于」は「…に長けている、秀でている」。後には名詞も動詞も置くことができます。
Guójiā lǐngdǎo yǔ wǎngmín zàixiàn jiāoliú, lǐngdǎo gànbù zhòngshì wǎngluò yúlùn děngděng xiànxiàng fǎnyìng chū “wǎngluò mínzhǔ ” jiāng chéngwéi zhōngguó zhèngzhì wénmíng de xīnxiān fúhào.
国家リーダーとネットユーザー間のオンライン交流、幹部クラスによるネット世論重視などの現象は、「ネット民主」が中国における政治文化の新しいシンボルになりつつあることを示している。
※「
网民」は「ネチズン」という英単語をそのまま訳したものと思われ、ネット利用者を意味します。「
在线」は「オンラインで」という意味で、非常によく使われます。「
网络舆论」は「ネット世論」、インターネットを表す単語は网络の他にも「
互联网(hùliánwǎng)」がよく使われます。「
反映出」の「出」は動詞の後ろにつく補語です。「表面化していなかったものが目に見えるようになる」といったニュアンスを出します。「将」は「まもなく…になる」という意味の文語です。口語に置き換えれば「马上(mǎ hàng)」「
很快就(hěn kuài jiù)」といったところでしょうか。「文明」は日本語とは違い、さまざまな意味を含んだ語です。ここでは文化と訳しましたが、良識・教養・マナーがあるといったニュアンスがあります。「
符号」は「記号」という意味です。